うるさくなったのを止めたのは、先生だった。
「オイ、てめーらうるせーぞ
留学生、さっさと席に着け」
クラスの誰もが留学生で神楽ちゃんのお兄さんー神威さんに目がいく。
あ、沖田さんは寝てるけど。
神威さんはゴリラ・・・じゃなかった、近藤さんの前の席にいくはずが、神楽ちゃんの隣の席で止まった。
(神楽ちゃんの左隣は沖田さんで、右隣の席は空いていた。)
「先生、俺ここの席でいいです」
神楽ちゃんはたったまま呆然としている。神威さんは神楽ちゃんを見てにこにこしていた。
先生はあきれた顔で神威さんを見て言った。
「お前、そこはここの席でいいです、じゃなくてここの席がいいです、だろ」
そんなことどうでもいいだろ!とつっこんでやろうと思ったけどなんだか神威さんはこの3年Z組の生徒と違うー・・・雰囲気がなんだか怖かったから、やめておいた。(つっこむ相手は先生なんだけど)
すると先生ー、という声が後ろから聞こえてきた。
「先生、なんで兄妹で同じクラスなんスか」
風紀副委員長の土方さんだ。
本来ならば僕がこのことを真っ先につっこむ筈が、僕はそのことができなかった。
「オイオイ、今頃かよ
志村新八と志村妙だって同じクラスじゃねぇか」
そうなのである。
僕と姉上は2歳差の姉弟だ。それなのに、同じクラスなのだ。
それどころではない。
もう30代後半の長谷川さんと10代前半の神楽ちゃんが同じクラスなのだ。
この学校には常識が通用しない。
それがわかると、土方さんは席に座った。
神楽ちゃんは後ろずさっていた。
左の方へ、だ。
もちろんそこには沖田さんが寝ているわけであって。
案の定神楽ちゃんは沖田さんの席にぶつかった。
「ってーな
人が折角いい気持ちで寝てるところになにしやがんでぃ」
沖田さんは顔を上げて神楽ちゃんにメンチを切ろうとしていた様だけど、神楽ちゃんは沖田さんのほうを全然見ずに、神威さんの方を睨んでいた。
だからか、沖田さんは神楽ちゃんの頭を後ろからはたいた。神楽ちゃんは「何するアルカ!」と言って沖田さんと喧嘩を始めようとした。
それを止めたのは、神威さんクラス中の誰もが驚くような言葉だ。
「何うちの可愛い妹に手ェ出してんの?」
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