歯車が狂いはじめたのはいつだったのか
そんなことを考える時間も余裕も無かったことは
そして狂わせてしまったのは己だということは
自分が一番よくわかっていただろう?
「神楽ちゃん!
血が付いているじゃないか!」
「転んだだけって言ってんダロ」
新八の横を平然と通り抜け居間に入っていく神楽。
そこを、ソファーに寝転んだままの銀時が神楽の腕を掴んだ。
「お前一応女なんだから喧嘩も大概にしとけよ」
「一応って何ネ!
仮にもちゃんとした女性になんてこと言うネ!」
「いや、仮にって言ってるからね」
冷静にツッコミをいれながらも、新八は内心ため息をついていた。
(また沖田さんと喧嘩か)
神楽と沖田は言うなれば犬猿の仲、である。
銀時と土方は会うと必ず先に口喧嘩を始める。街の真ん中で刀を出すような非常識さは持ち合わせていないからだ。(といっても非常識なのだが)
しかし生憎神楽と沖田は、その持っていても何も得をしない非常識さを持っていた。
加えて素晴らしいほどの仲の悪さ。
犬と猿、ハブとマングース。他に何をあげてもこの2人の仲の悪さには敵わないだろう。(しかし沖田が少なからず神楽に好意 を持っていることは神楽以外の全ての人が知っているだろう)
そのため、神楽が傷を負って帰ってくることは多々あった。
「とにかく、神楽ちゃんがお風呂から出てきたらご飯にするから
服はもみ洗いで出来るだけ汚れ落としておいてね
時間たつと落ちなくなるから」
流石主夫、とかなんとか言っている銀時は無視して神楽にタオルを渡す新八。
「3秒で出てくるから絶対に食べてちゃダメアルヨ!」
「ゆっくり温まってきなよー」